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ホテルとして失敗し、廃墟として成功した船。チャーン島【タイ】

100億円かけて作られた船が、陸の上で朽ちている。 (※2026年3月現在この船は火災により解体されました)

チャーン島に廃墟になった巨大な船がある、と聞いていた。バンコクからバスで5時間、フェリーで30分。アクセスはよくない。廃墟はたいてい何もない場所にあるが、ここはリゾートの島だ。廃墟以外にも楽しめるだけありがたい。

レンタルバイクで島の南端まで走る。ガソリンスタンドはなく、道沿いの店が瓶に入れたガソリンを売っている。上半身裸の白人が大きなバイクで追い越していく。

敷地に入るにはゲートで50バーツ(約200円)を払う。これが正規の入場料なのか、地元の誰かが徴収しているのかはよくわからない。

ちょっと進むと船が見えてくる。ただ大きい。

近づくと、サビ、落書き、割れたガラス。船体には神棚のようなものが残っていた。

入口はふさがれていて、立入禁止の紙がはってある。中に入れるのかと関係者らしき人に聞いたら、やめとけやめとけ、と手を横に振られた。

以前は中に入れたようで、そのときの写真をスマホで見せてくれた。ホテルの廊下のような、まだ小綺麗な内装が写っていた。

ギャラクシー号。7階建て、客室70の豪華客船を、水面に浮かべたままホテルにした施設だ。1泊1,000バーツ(約4,000〜5,000円)。これで5つ星を名乗っていた。リゾート全体の投資額は100億円規模だという。毎日満室でも投資の回収に117年かかる計算だ。

しかし、経済不況でオーナーが何度も交代し、最上階からロシア人観光客が転落死する事故も起きた。「呪われている」という噂が広まり、幽霊船と呼ばれるようになった。そして、放置された。

かつてのリゾートらしく、近くには水上コテージと、かつての受付らしき建物がある。中には、時計が止まったトラベルデスクと、ブラウン管のテレビが残っていた。

朽ちてはいるが、意外と見に来ている人は多い。地元のタイ人がバイクで乗りつけてたむろしている。カメラを抱えた白人がうろうろしている。テーブルとクーラーボックスを並べてコーラやビールを売っている人もいて、この人が何者なのかはわからない。

100億円をかけて作られたリゾートに、客は来なかった。廃墟になってから人が来るようになった。私も、ここがホテルだったらわざわざ泊まりには来なかっただろう。かつての投資額とは桁が違う、小さな経済がこの廃墟の上で回っている。

2024年12月、この船は火災に遭ったという。上層階は解体され、スクラップとして売却が進んでいるらしい。残っているのは、地面に鎮座した船体の底だけで、7階建ての姿はもうない。鉄くずは、新たな経済に還元されている。いま、入場料は100バーツに値上げされているらしい。

ギャラクシー号(The Galaxy) 基本データ

■所在地:
タイ チャーン島最南端、コチャン・グランド・ラグーナ(Koh Chang Grand Laguna)敷地内 (Googleマップリンク

■アクセス:
・バンコクからチャーン島まで:バス約5時間+フェリー約30分
・島内:ホワイトサンズビーチなど主要エリアからバイクで約30分。山道あり ・Grabは使えない。レンタルバイクか、ホテルに送迎を手配してもらうのが現実的

■入場料:
100バーツ(2025年時点)

■現状:
2024年12月の火災により上層階は全焼。その後解体が進み、現在は船体の残骸のみ。かつての7階建ての姿はない

■注意点:
・敷地内は管理状況が不明確。自己責任で ・近くにビーチがある。島で一番静かなビーチかもしれない
・状況は常に変わるので、最新情報はGoogleマップの口コミ等で確認を
・廃墟は突然なくなる。気になるなら早いうちに

おまけ:チャーン島には象注意の標識がある

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